第5章 跋―振り駒狂い—
唇を重ね、耳朶や頬に触れ、首筋に口づけながら胸にも触れる。
謙信の唇や手が触れ、なぞる度にの内側が応える。
熱いやわらかな粘膜が先程よりも強く謙信を締め付け、乱れた呼吸が鼓膜を溶かす。
「……そうねだるな。もたないだろう」
互いに濡れた目で見つめ合う。
互いが互いを欲しがっているのが分かる。
「だって……自分でも……自分の身体を思うようには出来ないんです。謙信様に触れられると……」
「心地よいか?」
艶めく声で問われ、は小さく頷いた。
「俺もだ。俺が触れる度に愛らしく啼き、こうも心地よく締め上げられると、離れがたい。ついお前を抱き潰してしまう」
口づけをして、再び腰を揺らす。
「……俺の精で、お前の中が熱く濡れている……。お前の胎に俺の精を残すとひどく満たされ、一度繋がると離れがたい」
低く甘い声が耳元で言い、は何も考えられなくなる程に蕩けてしまう。
謙信は何度も最奥を穿ち、散々にを啼かせた後に再び爆ぜ、それでもおさまらない昂る身体が満足するまで、存分にの身体を味わった。
褥に髪を乱したを、謙信が抱きしめたまま静かに身体を寄せた。
はすっかり疲れて、すぐにでも眠りそうにしている。
髪や額、頬に触れる謙信の手に心地よさそうに微笑む。
「……謙信様」
そっと名を呼ぶに謙信は穏やかな顔を向ける。
「なんだ?」
満ち足りた心地で身体を寄せ合う時間が幸福で、謙信は気怠くはあれど眠気は無い。
「眠らずにこうしているの、久しぶりですね」
「そうだな。だがあまりこうしているとまた繋がりたくなる」
身体を寄せたまま微睡んでいるのも心地良いが、その心地よさが長引くともっと心地の良い事をしたくなる。
「次は作戦を練っておくので、再戦を申し込んでも良いですか?」
「駄目だ」
あまりにきっぱりと即答されて戸惑う。