第3章 忍び寄る魔の手
「マジ、ヤバいな神崎」
橘も興奮してきたのか制服のズボンの膨らんできたようで、
私の体に押し付けてきた。
すぐ近くの廊下には沢山の生徒が行き交っている。
ちょっと大きな声を出せば誰かが気づくだろう。
しかしそんな余裕も無い私は、
ただ橘にされるがままだった。
「んっ、あ!」
橘は荒々しく私の唇を奪い舌を絡めれば、
自らズボンから硬くなった肉棒を取り出し扱き始めてきた。
「はぁ、んぁ、んんっ」
じゅるじゅると唾液たっぷりに何度も絡めてくる舌に翻弄されていると、
橘はそのまま私のスカートに射精をした。
「…この事誰にも言うなよ。言ったら…どうなるか分かるよな」
まるで脅迫友取れる言葉に、私は直ぐにピンときた。
そして私を見つめる目線から逃げるように俯いた。
「お互いの為って事で」
にぃと笑った橘はちゅ、と私の頬に口付けすれば軽く身支度をし何もなかったように賑やかな廊下へと戻って行った。
「…」
私はさっきまでの緊張の糸が途切れ、
その場に座り込んでしまった。
べっとりついた兄以外の精子。
兄じゃない天気が私の体を触り、
そして感じてしまった事…。
ーー言える訳ないよ、こんな事。
勿論自慰行為を見られてしまった事やその相手が兄である事の後悔ももちろんある。
しかし、
それ以上に他人の愛撫に感じてしまった事実が何よりもショックだった。
無理矢理胸を触られてキスされて、
本当は嫌だったのに、声を出してしまった。
兄しか知らないはずの体は、
無情にも別の男にも反応してしまったのだ。
ーーもう、これで終わりだよね。
もう触られたりしないよね。
自分自身の体をギュッと抱きしめて祈る。
しかし格好の餌食を見つけた悪魔の手は、
そう簡単に消える事はなかった。