第7章 城下町
「あっ!」
ばっと口を手に当て
周りを見渡した
どうやら聞かれていなかったようだ
「思い出してくれたかい?
すまんなこんなに怯えるとは
思わなかった」
(幸には平気で触らせてたのになぁ)
「すっすみません!
私は男の人にちょっと免疫がなくて!
貴方が怖いとかそういうのではなくて…!」
(特に貴方のような軽薄な人が苦手なだけです)
心の中で呟いた
必死に弁解する来実を見てふっと笑う信玄
「いいんだよ
女の子の声のかけ方がこれしか
知らなくてね」
あんまり申し訳なさそうに
笑う信玄に不覚にもドキッとしてしまった来実
「……普通に名前で読んでください」
頬を赤らめて俯いて言う
「…!分かった」
(へぇ…こんな顔するのか…)
「お詫びに甘味でも御馳走するよ」