第29章 脱出
「蘭丸か」
「信長様!来実様を早く…」
「待て来実を寄越せと言っている」
「謙信様、此処は信長公に任せましょう」
「佐助何を…返答によっては斬るぞ」
「俺達では来実を手当てできない…
そう佐助は言ってるんだ」
「信玄…」
「幸い徳川公ならこの傷を手当できます
ですよね?信長公」
「あぁ」
理由は理解できるが
素直に手放せない謙信
「…安心しろ必ず生かす
死なせはしない
この戦いを辞めるなら
後で来実と会わせてやる」
「!?」
「来実はお前も庇った
きっと起きた時納得せん」
「……分かった
引くぞ支度しろ」
「はっ」
佐助はその場から霧のように消え
上杉軍と軒猿、武田軍に知らせていく
「…久しいな信長」