第26章 誘拐
「あの、謙信様」
「なんだ?」
「信長様にこの事を文だけでも…」
「…駄目だ」
(うっ)
「まぁまぁ早く朝餉を食べよう」
「信玄様」
「大丈夫だ任せなさい」
ぼそっと呟かれた
(え?)
信玄を見ると軽くウインクをされた
「………」
«この時の来実の顔は皆さんの
想像に任せます»
(不安しかない…)
ふぅと溜息をついた
「そういえば兼続さんは何処に?」
(この場で謙信様に相応しくないって
言われると思ったんだけどな)
「彼奴なら偵察に行った」
「えっちゃんと挨拶してないのに…」
「気にすんなよ
そういうのは要らないって
前言ってたからアイツ」
「うん…」
(兼続さん無理してないといいけど)