第26章 誘拐
「て、手を出すって
何もされてないよ?」
「へぇー謙信がなぁ
意外と奥手なのか?」
「斬り刻むぞ信玄」
「おー怖」
「そ、それに私たちはまだ
お試し期間中でして…」
「ん?どういう意味だ?天女」
「あー成程」
佐助だけは意味を理解した
「安土に来たばかりの頃
信長様と賭けをしたんです
3ヶ月以内に好きな人が出来たら
私の勝ち出来なかったら負けです」
「なんでそんな賭けを?」
「ええと信長様が私が欲しいって
言ったから?」
「それで勝った場合は?」
「私は自由にその人の傍に居るなり
何処へ行くなり好きにしろ…と」
「…負けた場合は?」
「……信長様の妻になります」
「…よし、謙信許した!
来実を守れ!!」
ぽんぽんと肩を叩く信玄
それを訝しげに払う
「何故お前の許可がいる」
「成程ね
じゃあ一応賭けは来実の勝ち?」
「そう、なりますね」