第9章 小姓
「本っ等にありがとう!
来実様!!」
握った手をぶんぶんと上下に
揺らされる
「私は何もしてないよ!
蘭丸さんが一生懸命
信長様と向き合ったからだよ」
「でも君がいなかったら
ここまで辿り着けなかった
ありがとう」
「…うん」
(良かった誰も傷つかなくて済んで)
「蘭丸でいいよ!敬語もいらない!」
(これは流行ってるの?)
流石になれてきた来実は
呼び捨てではなくお馴染みの君付けで
回避する
「うんこれからよろしくね
蘭丸くん!」
にこっと笑って答えると
「…ちゃんと出来るかな」
(こんなに優しい子を巻き込むこと
本当はしたくない…けど)
蘭丸の悲しそうな顔を見る
「?」
「うん!そっちの方がいい!
それじゃあ俺は他の人に
挨拶してくるから!
またお礼させてね」
「うん行ってらっしゃい」
ばいばいと手を降ると
「さてと…」
さっきいた天守へと足を運ぶ