第9章 小姓
「その男…森蘭丸は
信長様の小姓でありながら
燃える本能寺から
信長様を置いて
逃げよった腰抜けです!」
「裏切り者め!
よくもぬけぬけと
城に入ったな!」
「待って信長様に
会わせてよ!!」
「…信長様に会いたいの?」
「?…うん」
「この時間帯なら天守かな
軍議はないって言ってたし
よし!一緒に行きましょう!」
ぶつぶつと独り言をしていたと思えば
爆弾発言をかます来実
「え?え?」
蘭丸も困惑している
「お待ちください!来実様!!
そいつから離れて下さい!!」
「どうしてですか?
会いたいなら会わせてあげるべきです」
「…っですが!
先程の話を聞いてらっしゃいましたよね!?」
「…蘭丸さんが腰抜けか裏切り者なんて
私は知りません
ぶつかってしまったお詫びに
信長様のところへ案内するだけです」
「!!」
「それに火事の中助けを呼ぼうとしていた
可能性もあるのでないですか?
本当に裏切ったことを
裏付ける証拠はあるのですか?」
正論を述べ立てられて
何も言えなくなる家臣たち