第23章 囚われた英雄
薄暗い洞窟を抜け、扉が開かれた。岩肌を削った洞窟から急に白壁の人工的な空間になり、そのアンバランスさが妙に不気味だった。
鼻をつくのは乾いたコンクリートと金属の匂い。足音が硬質な床に跳ね返り、やけに大きく響く。地下の無機質な空間はどこか息苦しく、いるだけで重力が全身にのしかかるみたいに重苦しかった。
荷物を奪われ、後ろ手に縛られた私とNは、抵抗もできないままプラズマ団に奥へと進まされる。
狭い通路を行く途中、何人もの団員とすれ違った。
攻撃的な視線を向ける人もいれば、それとは対照的に、「N様」と呼んでNに敬意を払う人もいた。彼らの内情は、私が思っているよりずっと複雑なのかもしれない。
厳重なロックがかかっていた大きな扉の先に、ゲーチスはいた。
私とNは床に跪かされ、背後では武装したプラズマ団員が無言のまま、後ろ手に縛ったロープを握り締めている。
「ゲーチス様!裏切り者のNと、その仲間を連れて参りました!ゼクロムは回収済みです」
私たちを欺いたあの女が、誇らしげに敬礼し、高らかに報告した。
すると、壇上にいる黒いマントに身を包んだ男が、ゆっくりと振り返った。
「素晴らしい…!」
ゲーチスはNを一瞥し、ゆるりと口角を上げた。相変わらず私は眼中にないようで、一切目が合わない。
「今度は何を企んでいるんです?」
訝しむNの瞳が、わずかに陰る。
「簡単な話です。ワタクシの理想を叶えるためにゼクロムが必要だったのですよ」
「ボクのトモダチを利用するというのなら、ボクはアナタを許しません!」
毅然とした態度で言い返すN。迷いなくまっすぐな思いぶつけ、真剣な表情でゲーチスを見据えている。