第8章 遊郭編
<善逸side>
【京極屋】
善逸「(なんか俺、自分を見失ってた……。)」
三味線を弾いていた時より、冷静になった俺は
今は廊下を歩いていた。
善逸「(俺は宇髄さんの奥さん“雛鶴”さんを
捜すんだったよ。
三味線と琴の腕を上げたって
どうしようもないだろうよ。)」
何してたんだろ、俺は…。
善逸「(でもなぁ、どうしよ。
ずっと聞き耳立ててんだけど雛鶴さんの情報ないぞ。
2日前に死んだのって楼主の奥さんかな。
皆暗いし、口が重いな。)」スッ
人通りが少なくなった所で、
もう一度集中して聞き耳を立てる。
ーーアレとってアレ!ーー
ーーもうおなかすいたわーー
ーー帯がないのよーー
ーー髪結いさん来た?ーー
ーーひっく ひっく ぐすんーー
ーー早くしなよーー
善逸「(ひっくひっくぐすん!?)」
耳に飛び込んできたのは女の子の泣く声。
善逸「一大事だ。女の子が泣いてる。」
泣く声を頼りに、俺は廊下を進んでいった。
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