もしも蒼月潮が大人しめの女の子だったら……【うしおととら】
第2章 もとはといえば
雷を落とし、一気に雑魚どもを蹴散らす。足止めをくらったからか、もうすぐ後ろまで槍を持った女は近づいていた。
「まいったあ!まいりましたあ!!約束通り妖怪はやっつけるぜ!!だから勘弁してくれえ!!」
一気に距離を詰めてきたと思えば、女は容赦ない斬擊を浴びせてくる。危機一髪のところでそれを避けるが、当たったらひとたまりもない。もうわしでは手がつけられない。
ふと、どんどん集まって巨大化した魚妖どもが目に入る。まったく、やってくれるぜ。そう思った瞬間。
ビュッ
「ひっ!」
女が飛び出してこう言った。
「先にあんたがいけ、私がトドメをさす…!」
「はっ、はいぃ!!」
ギロリと鋭い目で睨み付けられ、反射的に女に言われるがまま動く。500年の間で体がなまっている今逆らったら……やられる!!
ダンッと勢いよく飛び上がり、てっぺんの魚妖を潰しにかかる。まっぷたつに割れ、やつらはなんとかくっつこうともがいていたが、時すでに遅し。振り向いた時には、女が槍を振り回し、目にも止まらぬスピードで妖怪たちをバラバラにしていたところだった。
魚妖たちは断ち切られたせいで妖気が上手く制御できなくなり、空中で爆発して…地面にぽとぽとと落ちていった。少し遅れて、女も着地をする。力を使いすぎたようで、両膝をついてしゃがみこんでしまった。
「……獣の槍…、二千年も昔、中国で作られた、槍…」
人の魂を力に変えて妖怪を討つ槍だ。体力を大分消耗したらしい。
「……じゃ、あばよ」
今が逃げ出す一番の好機だ。さっさと人間を食って、力をつけんと……
ガチャッ
「まさか…許されると思ってるんじゃないの?」
獣の槍を目の前にちらつかされ、体中の血の気がひく。
「だっ…!サカナやムシはやっつけただろ!!」
「…あんたの500年分の妖気なんだから…まだ当分の間は他の妖怪を呼ぶんじゃないの?ちゃんと責任とって、寄ってきたやつは倒してもらわないと、困る」
「……き、きたねえ……」
「騙したくせに何言ってるんだか…」
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「あれ、うしお…あのいっぱいいた、おばけたちは…?」
「ん?なんのこと?二人ともずっと寝ちゃってたけど…怖い夢でも見た?」
「え……?」