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八重歯と稀血

第2章 弐.尊い命





その笑みを見るのと同時に鎹鴉が鳴く。

「東ィ!東ィ!!至急応援セヨ!
鬼舞辻無惨ガ現レタァ!至急!東ィ!早ク行クゾ!」

「な……っ!?!?」

「ふふ…」


囮…!!やっぱり罠だった!クソ野郎クソ野郎クソ野郎!
わざわざ二手に別れさせるために鬼をわざと!!!

無事でいてくれ!

消えゆく鬼の屍を越えて一目散に鎹鴉の飛ぶ方向に走る。

上弦じゃなくて鬼舞辻無惨だとォ…!?
やっぱりが狙いだったんじゃねぇか…!

何から何まで…奪っていきやがる…


「!!!!!
おいクソ野郎どこだァァ!」

「さ…ねみ…に、…」

「オイ、死ぬな…!ダメだ…!」

「ぉ…、て…」


腹に腕を貫かれたのか、大きな穴が空いている。
呼吸が出来ていない…どうすればいい…!

そこへ伊黒と甘露寺、煉獄が息を上げながら汗をたらして駆け寄ってくる。


「おいこれはどういう事だ!何があった!言え不死川!」

「鬼舞辻無惨は!?」

「む、鬼の気配はしない…。まずは急ぎ蝶屋敷へ!」


煉獄のその言葉に反応し、右手で煉獄の腕を掴む。
か細い声で先程から何かを訴えている。

そこへ更に胡蝶がくる。


「だ、……め、」

「何がだァ!」

「ぅ、ごか…ぃ…っ、で…、しの…ぶ、ちゃ…っ!」

「さん、大丈夫です。分かってます」


その言葉を聞き、ズルズルと煉獄を掴んでいた腕の力が抜けていく。
抱き寄せる俺の腕の中で必死にしていた息が…息をしなくなった……?


「胡蝶なんだ、どうにかしろ、」

「おい……」

「え、ちゃん…?」


妙に深刻そうな顔をして立ち尽くす胡蝶と煉獄。
なんでこいつら何もしねぇんだよ……?


「不死川さん、さんから即刻離れてください。
時間がないので一度だけしか言いませんから聞き逃さないでください。

いいですか。
さんは鬼舞辻無惨が鬼にするべく目をつけていた存在だと思われます。
まさかこんなに早く事態が起きることは予測していませんでしたが…兎に角、今恐らく鬼舞辻無惨の血をいれられていると思います。
なので鬼化に備えて一度括りつけておかないといけません。
時間がありません、早くやりましょう」



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