第2章 弐.尊い命
くねくねと曲がりながら進んで歩いているうちに日が沈み、今いるこの山を下った所にある町で調査をするそうだ。
「ん?」
洞察力の鋭いが何かに気づく。
すぐに近くの木の影に隠れて息を潜めると、2体の鬼がいることが目視で確認できた。
「下級の鬼が2体かァ……」
「鬼がいる可能性はなかったはずですけど…
移動してきたにしても不自然すぎます。しかも2体って」
「様子もおかしいな」
「聞き取りたいところですけど、変に逃げられる前に手分けして殺しておきましょう。
わたし右の鬼いきますから、左の方たのみます」
「あぁ」
二人で呼吸を整える。
スゥゥゥゥ…、という呼吸音が一度止んだ時を合図に二人で鬼の頸を目掛けて飛びかかる。
「来た!鬼狩……ァ…!」
一瞬で頸をはねたあと、奥の方にも鬼が一体いるのが確認できる。
なんだこいつら…!
「実弥さん、わたしの方の奥にも鬼が!逃げられる…!」
「俺の方もだがなんかおかしいぞォ!!」
「一旦こいつら仕留めてまたここで合流しましょう!」
「待て!」
クソ、行っちまった。
目の前にいる下級の鬼も走って逃げてやがる。
チッ…とりあえず急いで狩って合流するしかねぇ…。
くねくねと小賢しく曲がりながら逃げ惑う鬼を追う。
「うぜェ……!
風ノ呼吸 壱ノ型 鹿旋風・削ぎ」
「う…クソ…ガ…!!」
「クソはてめぇだァ」
「柱の…方ですか…?」
「あ゛?」
木の上に立つ一体の鬼。
女の姿…ずいぶん小せェ声で喋るやつだな…。
「素敵……」
一瞬にして懐に入り込まれ肌に手がピトっと触れる。
「……!」
「あら…逃げられてしまった…」
すぐさま距離をとり、刀を構える。
危なかった…!油断しちまってた…!
「十二鬼月は…解体してしまいました…
残念…もう少し早く…ここまで強くなれてたら…
上弦の入れ替えも…夢じゃなかったわ…」
「不意打ちしたくらいで調子のんじゃねェ…!」
「血鬼術・誘い」
その前に…切る…
「弐ノ型 爪々・科戸風」
一瞬で間合いに入り、手応えはあったと感じ後ろを振り向く。
ボロっと落ちていく頭を見て刀をしまう。
……笑ってやがる。