第4章 未来なんて【ジェイ監】※微裏(裏)
『僕と貴女が初めて会ったのは、入学されてほんの2日ほどのことだったんです。
貴女が最初、男子校のため男子と偽っていらっしゃったのを僕が見破ってしまったんです。
最初は恐怖心から僕とあまり目を合わせてくれませんでした。
でも、段々と慣れてきたのか僕に挨拶をしてくれる様になったんです。
僕はあまり恋愛というものに興味が無く、貴女も興味はさほど無いと、思い込んでいました。
ある日、僕が中庭に行くと貴女が木のそばで眠っていたんです。
僕が近づくと貴女は目を覚ましてにこりと微笑みました。
その時から…いいえ、ずっと前から貴女のことを目で追いかけて、気になっていたんです。
僕はその時初めて、貴女に触れて、本心を打ち明けました。
貴女は笑って頷いてくれたんです。
涙を溢しながら。
それから、僕のピアスに似たピアスを作ったり、花冠を作ったり、海へ出かけたりしました。
とてもとても、楽しくかけがえのない時間でした。』
「とても…っ……楽しかった…っ」
そこまで話すと、ジェイドさんは涙を流した。
「ジェイドさん…本当に、ごめんなさい……」
「…いいえ、気にしないでください。貴女が悪い訳ではないですし…
でも、逆によかったのかもしれませんね…」
「え、…」
「ユウさんとお別れしなければいけないのでしょう?…なら、記憶が無くなった方が、良かったのかも…しれない…っ…ですね…」
そんな突き放すような言葉とは真逆に、ジェイドさんは悲痛に顔を歪めた。