第4章 未来なんて【ジェイ監】※微裏(裏)
嘘。記憶を失くしたばかりで混乱しっぱなしなのに。
人の記憶ばかり無くなっていて、帰るとしても挨拶も出来ない。
「あといちにち、ですか…」
「?何か問題でも?」
「…いえ!やっと帰れるんです!では準備して来ますね」
「はい!ああ出来るだけ早めにお願いします!説明とかあるので!」
「はーい…」
もう訳わかんない…意味分かんない……
ふと見た窓に映った自分は、大粒の涙を溢していた。
「…ユウさん……?」
「ジェイド…さん?ですか?」
「!…はい。そうです」
私に触れようとした手が、そっと離れた。
「すみません…私、今記憶が曖昧みたいで…お付き合いをしていたのですよね?」
「…………そ、うですね」
「ごめんなさい。本当に。…本当にっ……」
「ユウさん…?」
記憶が無くなっていても、分かる。
私はこの人のことを好きだったんだ。
いや、大好きだったんだ。
記憶を無くしても、何故かこの人を見ると落ち着く。
だからこそ、本当に申し訳ない。
そして、本当に辛い。
仮にも彼氏だった人のことを忘れて、明日帰らなければいけないなんて。
「ユウさん」
ジェイドさんは私を軽く抱きしめると、寂しそうな笑顔で話し始めた。