第2章 有り触れた日常
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「らいなぁ、」
ライ「お前な…………」
初夏。第104期訓練兵は今日も訓練に励んでいた。
その一員である・アドラードは尻もちを着いている。訓練兵の中でドジで有名な彼女をいつも助けるのは、同じ訓練兵であるライナー・ブラウンの仕事だった。
ライナーが、涙目で自分を見上げるの前にしゃがみこんで手を出せば、えへへと嬉しそうに笑いながら彼女はそれに手を乗せる。
しっかり手を握ったのを確認したライナーはグイッと彼女の手を引っ張り、立ち上がらせた。
「わっ、…………へへ、ライナーありがと。」
ライ「気をつけろよ。ただでさえそそっかしいんだから。」
「うん、分かった〜」
ライ「っ……オイ、注意したすぐ後に転けそうになってんな!」
「わあ、ライナー力持ち。」
再び小石にコケそうになった彼女をヒョイと持ち上げた動作に、持ち上げられた本人は楽しそうに笑ったのだった。
それに呆れながらも、ライナーは優しく彼女を地べたに下ろす。
ジャ「イチャついてんじゃねえよ、カップルかよ!!」
コニ「いやもうアレはカップルだろ」
ジャ「うるせえ!許さねえ!」
ライナーとは、訓練兵で仲を噂される程関わる事が多い。ドジをするをほっとこうとも、そう出来ないライナーを見て、訓練兵が揶揄う事も増えた。
「ライナー、カップルだって〜」
ライ「違うんだからお前も否定しろ。」
「え〜?」
ヘラヘラと笑うにライナーは溜息を吐く。
ライナーは大抵こういう噂を否定するのだが、がこう曖昧な返事をするので、本当に付き合ってるんじゃないか、と噂されても不思議ではなかった。
「あっ!」
ライ「どうした。」
「ワイヤー絡まっちゃった、」
ライ「…………はァ、」
二ヘラ、と笑ってみせるに、ライナーは心底お気楽なやつだと罵る。
それにすらも笑って返すは、やはり頭のネジが外れているのかもしれない。
『アドラード!!またお前か!!!』
「ごめんなさぁい」
どうして俺がこんな餓鬼の世話を。これがライナーの本音だった。
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