第12章 簓と左馬刻の番外編
「やっぱ抜かれたか、まっ想定の範囲内やけど」
文秋にぬかれたと俺の写真がアップされたことに気付いたのはすぐやった。
とりあえずマネージャーの電話しとくか。
「もしもし簓です」
『簓くん、さんとの記事見たけどなに?簓くん見た?』
「見ましたよ、よう撮れてますね!」
『もー、撮れてますねちゃうねん……事務所であーだーこーだ言われるんやけど。俺にはちゃんと説明してな!』
カウさんに黙っとくのは流石にアレやから説明した。
ついでに今からトウキョウに向かうことも告げた。
『あんまり出歩かんでほしいんやけど、マスコミに追いかけられるで』
「が心配なんよ、許して!」
『もー!分かった、駅まで送るから家おって!』
「さすがカウさん!おおきに!」
カウさんの"もー"は口癖。
やから牛にちなんでカウさんって呼んどる。
迎えに来たカウさんの車に乗ってシンオオサカ駅に向かった。
「いやー助かりますカウさん!」
「悪いけど簓くん女好きやと思ってた」
「女好きって遊んでるみたいですやん」
「うん、そうやと」
「ひど!」
「あんだけファンおったら一人くらい」
「食うてませんわ!」
「まだ何も言うてへんのに」
「カウさんたまにキツイこと言いますよね」
「ていうか明日ロケあんのに……遅くても朝一で帰って来るんやで」
「夜遊びを心配する親みたいや」
「ほんなら行くの止めよか?」
「堪忍堪忍!そんじゃカウさん何かあったら宜しゅう」
「気い付けて」
カウさんの車を降りて新幹線の切符を買うた。
今日が平日で良かったわ、切符買えんかったかも。
さて、に連絡っと……そうや。
いいこと思いついた。