第11章 帰ってきたオオサカ
「あれ、もう来てたん?待たせてスマンな!」
「いやまだ時間ちゃうし」
「お疲れ様です、お久しぶりです盧笙さん」
あの放送から数週間。
オオサカでの仕事が終わって、盧笙さんと会うことになった。
「お疲れさん、元気にしとったかなんか聞かんでもええかテレビでよう見とるし」
「ははは、お陰さまで楽しく仕事やらせてもらってます」
「それにしてもお前ら“BL芸人”は無いわ」
「なんでやおもろいやん、新ジャンルや」
「新ジャンルて……良いエールとの組み合わせ言いたかっただけやろ」
「バレた?」
「えー!そうなの!?」
「真に受けたんかい」
「ええ……」
「そんな事より、呼び出した張本人がまだ来とらんやんけ」
「少し遅れるらしいわ」
「あいつホンマ時間通りに来たことないな」
「俺がいても大丈夫なんですか?」
「零がに会ってみたいんやと」
「何でですか?」
「面白い言うてたしミーハーなんちゃうか」
居酒屋の個室で天谷奴さんを待った。
30分経ったころ彼は悪びれた様子もなく現れた。
「よう待たせたな」
「おっそ!たまには早めに来て待つってことはできひんの?」
「すまねぇな、俺もいろいろあるんでな」
「まあ座ったらどうや、何飲む?」
サングラスをした男が現れた、この人が天谷奴零か。
想像してたイメージとは正反対ですごくダンディな人。
美人な嫁さんにイケメン美女の子供がいそうだ。
「おお、テレビに出てた兄ちゃんじゃねぇか、簓のコレか」
小指を立てて見せてくる天谷奴さんはニタリと笑った。
簓さんが親指ってことですかそうですか、受け身ってことがバレている。
「初めまして、天谷奴さんの話はかねがね」
「かねがね?お前ら何て説明したんだよ」
「詐欺師とか詐欺師とか詐欺師とか?」
「まあ間違ってはねぇな」
認めるんかい!
「簓と兄ちゃんの漫才見たぞ、面白かったぜ」
「見てくださったみたいでありがとうございます」
「コンビ組んでんだって?」
「はい、ライブやってるんで良かったら来て下さい」
「ほう是非見物させてもらおうかな、いつやるんだ?まさか社交辞令で終わらせようってわけじゃねぇよな?」
「え、あはは、ちゃんと招待しますよ。行ける日を教えて下さい」
「来週トウキョウ行くからその時行かせてもらおうかな」
天谷奴さんは東京によく行くらしい。