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【ヒプマイ】先輩芸人の簓さん オオサカ編

第9章 シークレット


「お疲れ様ですー白膠木簓です、収録観覧させてもろうてもええですか?」
「え、白膠木さん!ちょっとお待ち下さい」

俺は簓さんとスタッフさんのやりとりを横目に楽屋へと向かった。
ドアを開けると既に芸人達が集まっている、そこには龍太郎もいた。

「話題沸騰中の野郎が来よったで」
「龍太郎ちょっと」

龍太郎には話しておくべきだろう。
手招きをして龍太郎を楽屋から連れ出した。

「なんや?」
「簓さんと一緒に来たんだけど見学するってさ」
「え?来てんの?」
「うん、今スタッフさんと話してる」
「お前スタジオデートすんなや!」

なんて返したらいいんだか。

「つっこめや」
「あのさ、その事なんだけど龍太郎には先に言っておく」
「勿体ぶらんと早う言えや」
「簓さんとの記事は冗談でもなんでもないから」
「じゃあなんやねん」
「付き合ってる簓さんと」
「なにそのボケ」
「ボケじゃない」
「マジのトーンで言うなや……え、ま、マジで言うてんの?」
「今年の春から付き合ってる」
「なんで黙ってたんや」
「言えるわけないじゃん」
「筒井さんにも?」
「今龍太郎に初めて言った」

龍太郎は頭をわしわしとかいて何を言ったらいいのかわからないような顔をしている。
身近な二人が付き合ってるなんて突然の告白で困惑するよな。

「何で今言うん、せめて収録後に言うて欲しかったわ」
「……そうだな。不快に思うなら解散も覚悟の上でいるからその時は言って」
「簓さんのことについては俺は口出しせえへんし否定もせえへん、のやりたいようにやれよ」
「いっとき迷惑かけるかも」
「そんなんネタにしまくったるわ」

龍太郎は優しかった。
問い詰めるわけでもなく、不快な顔をするわけでもなく、受け入れてくれようとしている。

「ありがとう」
「と解散とか考えてへんから。つーかが誰と付き合おうが勝手にせえや、そんなんで解散してたまるか。関係ないやろ」
「惚れそう」
「簓さんに殺されそうやからやめーや……ひっ!」

龍太郎のひきつった顔の目線の先、そこには簓さんがいた。
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