第5章 鯖と玉ねぎと蛞蝓
『敦くん今日は宜しくお願いします!!』
「いえいえ、今日はありさ さんにお供させていただきます!こっちに行くと色んなお店が並んでますから、行きましょう」
『はいっ!』
どんなお店があるかウィンドウショッピングをしながら歩いていく。
「今日のありさ さんのお洋服素敵ですね」
『ありがとう。これ太宰さんが決めてくれたの…実は今日ここに来るのも誰と行くとかも内緒にしてたら、
太宰さんが「私も付いていくぅー」
って駄々こねられてしまって…
折り合いをつける為に、今日の着るもの全部太宰さん好みの物にするので、一人で行かせて下さいってお願いしたんだ。
太宰さんって本当心配性だよね?ふふっ』
「はぁ…そっ…そうですね」
【心配性と言うか束縛と言うか…
太宰さん…ありさ さんの心の声聞けば何処に行くか位分かるはずなのに、、】
「太宰さんは普段もそんなに心配性なんですか?」
『うん、なんかここ最近私が危なっかしいからって、
家の中でもお風呂とか以外は何処かしら触れられてる。
料理作ってる時とかも毛先で遊んでいてさ、流石にご飯作りにくいから辞めてくださいっていっても、のらりくらり躱されちゃうの』
「太宰さんはありさ さんの事本当に大切にされてるんですね」
【もしかして、太宰さんありさ さんの気持ちを社員に聞かせたくなくて自宅の時は無効化してるのかな…独占欲強そう】
『そっ…そんな事…』
恥ずかしくなった私は話題を変えるため男性のアクセサリーのお店に入ろうとする
『敦くんこのネックレス素敵ですね』
「そうですね…でもネックレスすると太宰さん…首吊りそうですよね…?」
『あっ…却下だね』
移動して次は男性の小物を扱うお店に入る
『敦くんこのベルトなんてどうかな?』
「そうですね…この前両足にベルトを括り付けて逆さになる自殺方を試してました」
『あっ…却下だね』
ベルトの棚の隣に視線をうつし
『あっ!じゃあ香水なんてどうかな?敦くん』
「そうですね……」
『飲んだらどうなるか試しそう…ってことだよね…却下だね…』
(何をプレゼントしたら喜んでくれるのかなぁ…もっと太宰さんのこと観察しておけば良かった…私の事を一番理解してくれる人なのに…私は何も出来てない…)