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出会った意味

第8章 もう一度


かかしサイド

今日は任務も早く終わり帰宅する。
この暗い部屋に帰ってくることも、もう慣れたものだ。

こんな日は、久々にゆっくりと読書を…と思いごろんとベッドに横になった。

でもなんとなく集中できず、パタンと本を閉じてぼんやりと天井を見つめていた。
自身の手をかざして、眺めてみる。

_____________
『この手は汚れてるんじゃない。この手は、里を、人々を、大切な人達を守るために頑張ってくれてるんでしょ?この手を、自分自身を嫌いにならないで』

アンナの言葉がまた蘇った。
あの言葉には救われた…
だからこうして今も頑張ることができているのだ。

『かかしが生きている実感が欲しいなら、私が感じさせてあげるから、これからは、ここに、私の隣にちゃんと帰ってきてくれる?』
_____________

はぁ~…っと重く長い溜息が部屋に浮かび上がる。
両手で顔を覆い

「俺は…そろそろ限界だよ…」

情けないと思いながらも、久々に本心が口からでた。

その瞬間、ドサッと体に柔らかい重みがのしかかった。


一瞬でわかった。

「…かかし…」

ずっとずっと聞きたかった声、彼女の匂いと体温。
一瞬で胸がいっぱいになり、無言で力いっぱい抱きしめた。

ようやくその愛しい人を見つめた時、彼女は泣きながらも笑って言ってくれた。

「こんなとこにいたんだ…やっと見つけたよ」
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