【ぬら孫】双子の兄妹は我が道を行く【奴良リクオ】【氷麗】
第2章 婚約者は前世で恋した人
水月sied
ふぁ〜…あ。もう朝か。
ヒョコッ
「水月、朝飯だぞー」
そう言って障子を開いて顔を覗かせるのは私の双子の片割れ、雨宮大翔。
「今行くよ!」
私がここに転生してから数年。まさかのぬら孫の世界とはね。
男のような容姿を持つお婆様の恩人に連れられて行った神社で少女と男性、遠くの方に少年が居たのを見た。恩人は急いだ様子でその父親を"助けた"。少年は気絶。その少女はお爺さんと共に何処かに消えてしまったけれど…。
「おはよ〜」
「おはよう、水月」
「おはよう、水月ちゃん♪」
両親に挨拶をし、先に座って居る大翔の隣の椅子に着く。「いただきます」と口を揃えて言い、食べ進める。
「2人共、旅行の準備は終わってる?」
「うん、大丈夫だよ。お母様」
「俺も平気だ、お袋」
「そう♪」
「遂にこの日が来たか…」
「ふふふ、そうねぇ」
我が家は割と古風なお屋敷。奴良組の傘下の雨宮組。其れこそ、あの魑魅魍魎の主と呼ばれし"ぬらりひょん"とお母様の母、つまりは私の祖母にあたる"お婆様"は戦友。しかも、奥方様の護衛であり親友だったんだとか。
お母様はそのぬらりひょんの息子にあたる二代目の奴良鯉伴の戦友で氷麗の母、雪麗の親友。しかも昔は想いあっていたが、恐らく羽衣狐の呪いのせいで妖同士の子は為せない事を知る事となった。だから、今はこんな状況なんだ。
でも、今でも二代目と想いあってるのがお母様だ。お父様はそれでもお母様を愛しているらしい。…大翔と私はそれを知って辛くなった。お母様の想いの強さを、目の当たりにしたからでもある。
「「「ご馳走様」」」
「お粗末様です。それじゃ、行きましょ!」
上機嫌のお母様に連れられて、荷物を乗せる。お父様が運転手として車を走らせる。
「大翔、水月」
「「?」」
「2人にとって、とても大切な存在になる子がもう直ぐできると思うわ。でもね、決してその子の全てを否定してはいけないの。分かったかしら?」
「「…はい」」
「それなら良かったわ」
「さあ、着いたよ」
私達と同じ位大きい和風な屋敷。アニメで見たまんまだと改めて思う。