【ぬら孫】双子の兄妹は我が道を行く【奴良リクオ】【氷麗】
第8章 旧校舎(※描写無し)
夜──…
「た、ただいまぁ…」
「お帰りなさい、リクオ様」
「あれ?首無。母さんは?」
「若菜様ですか?
今、来客中ですから其方に対応しておられますよ」
「え、来客って…こんな夜に誰が?」
リクオの問いかけにキョトンとしている首無。
その時、水月と氷麗は何かに反応した。その隣で大翔は苦笑している。
「総大将から何も聞いてないのですか?」
「へ?」
「おお、帰っておられましたか。リクオ様」
「あ、鴉」
鴉天狗が奥から飛んで来た。
リクオは不思議そうに首を傾げる。水月が期待を込めた目で鴉天狗を見る。
「鴉、あの人が来てるの?」
「はい。水月様の仰る通り」
「今は、奥の方にて総大将と二代目のお二人と話していますよ。暫く泊られるそうです」
「ああ、だから若菜さんが対応しているのか」
「…えっと」
1人だけ理解が追い付いていないリクオに、水月が笑い掛ける。
「綾響様の事だよ、リク君」
「え?あの例のじーちゃんのお師匠の?」
「うん。…きっと、リク君に用があるんだわ」
「ボクに?」
困惑するリクオに鴉天狗が急かすように言う。
「ささ、早くお着替えになられて下され
綾響様がお待ちですぞ」
「あ、うん…」
首無に連れられて行くリクオを見つつ、3人も自身の部屋に急ぐ。
所変わって綾響達は──…
「ハア?三代目を継がないだって?」
「…し、師匠」
「ま、まあまあ…落ち着いて下さいよ、綾響殿」
「落ち着くも何もねーだろ。三代目を継がないんじゃあ鍛え上げる必要性がない。水月も嫁にやらん」
失望したと言わんばかりの表情にぬらりひょんと鯉伴は冷や汗をかいている。
「ふふ、綾響様。どうか、もう少しだけでも様子を見て下さいな」
「…若菜が言うなら」
「「(た、助かった…)」」
ふぅ…と安堵する2人だが、綾響はジト目で2人を見る。
「若菜に免じて、もう暫く様子を見てやる」
コクコクと頷く2人。若菜はニコニコしながら綾響に寄り添っている。