【ぬら孫】双子の兄妹は我が道を行く【奴良リクオ】【氷麗】
第6章 双子の苦悩
水月sied
何から、話せばいいかな。…私は転生者なんだ。
前世は高校生で、生徒会に所属してから初めて尊敬出来る先輩が居た。その人が大翔先輩。兄のような人だ。
「先輩!これってどうすればいいんですか?」
「ああ、それはこれを使えばいいよ」
「はーい!」
我ながらよく懐いてたと思う。あんなに拒んでたのに、先輩の事はあっさりと認められた。何をするにも雛の様に後ろをついて行っていた。
これからだったのに…。
キキィィィィーーードンッ
横断歩道を歩いていただけなのに、どうして車に轢かれたの…?これが"死ぬ"って事なのね。…痛い、苦しい、辛い………でも、虚しい。
ああ、どうして…。先輩にはまだまだ教えてほしい事が沢山あったのに…約束を、守れてもないわ。
ごめんなさい、大翔先輩…。
そして今現在、双子の兄の大翔を見て思う事があった。
「アイツと、よく似ている…」
「大翔?どうしたの?」
「いや、何でもない…」
もし、先輩であるなら…。
「大翔ってさ、私が昔よく懐いていた人とよく似てる」
「!おまっ、今なんて…!?」
やっぱり、先輩だったんだね。
「…ふふ、せーんぱい♪今度はちゃんと兄妹ですね♪」
「っ、水月。今度こそ、お前を守ってみせるから」
先輩の言葉に…私は、涙を流しながらも笑って頷いた。
ねえ、先輩。もう一度、今ここで誓うね。
リクオ君に嫁いで、先輩が安心して雨宮組を継げるように頑張る。
今度こそ、先輩の幸せを見届けるね…。