【カードファイト!ヴァンガード!】 ~クレイの神子~
第3章 宿主
精一杯の感謝の気持ちを込めてお礼を言う。私は嬉しくて堪らなかった。何年もの間、PAYクオリアの行方を探し続けて、やっと見つけた宿主はとても優しくて、力に執着しない人で良かった、と。
父「ハルカもここへ」
ハルカ「はい」
それぞれが定位置に着き、力を取り戻す儀式が始まった…。
父がアイチの胸に手を翳して呪文のようなものを唱えると、アイチの中から光を放つ結晶が現れた。
アイチ「きれい…」
アイチがつぶやく。おそらくこの場にいる皆が同じことを思っていただろう。
次にその結晶をハルカに翳すと、再び呪文を唱える。
するとみるみるうちにハルカの体内に吸い込まれていった。
ハルカ「…………。」
三和「…終わり、か?」
ナイト「ああ」
三和「何か、呆気ないな?もっと時間が掛かるものかと思ってたんだけどな?」
三和が拍子抜けしたように言う。
ナイト「略式だからな。正式な手順ではもっと時間が掛かる」
ハルカ「…ぅ…っ」
ふらぁ――。
また眠気が襲い、その場に座り込んでしまった。
ナイト「ハルカ!」
慌ててナイトが駆け寄る。
父「大丈夫だ。力が戻った反動だろう。部屋で休ませてあげなさい」
ナイト「はい…!」
ナイトが私を部屋へ運び、客間で皆は寛いでいた。父、ナイト、櫂、アイチはお茶を飲み、三和はルイとルミに気に入られ、遊び相手をしていた。
父「さて、アイチ君」
アイチ「はい?」
父「PAYクオリアをあの子に返してもらった訳だが、暫くは今までのままなんだ」
アイチ「え?」
ナイト「返したと言っても、一度にとはいかない。器である身体と精神が強い力に付いていけないんだ」
櫂「? 元はあいつの力では無いのか?」
ナイト「その通りなんだが、本来神子の力は身体を離れることは無い。が、ハルカは今まで本来ある筈の力が殆ど無い状態が続いた。そんな状態から一気に力が戻ったら…」
アイチ「器が驚いて、負荷が掛かるってことですか?」
父「そう。なるべく負担が少ない方法…宿主があの子のそばに居る事で、少しづつ戻るようにしたんだよ。あの結晶は、アイチ君とハルカを繋ぐアンテナの様な物なんだ」