第13章 男子会女子会
「うまい!うまい!」
青空の下、立ち入り禁止であるはずの屋上に大きな声が響く。
言うまでもなく声の主は杏寿郎で、他にも宇髄、不死川、冨岡、伊黒といつもの面々が職権乱用の基、屋上で昼休みを過ごしている。
各々職員室で過ごす事も多いが、何人か揃えば屋上や各教科の準備室に集まって食べたりと結構仲が良い。
杏寿郎はお手製のお弁当を頬張り、いつも通りうまいうまいと声を上げているが、ただ一人、そんな杏寿郎の様子を目を細め見ていた者がいた。
「煉獄、お前今日寝てねぇだろ?」
「む?よくわかったな、宇髄!
実はあまり寝てないんだ」
苦笑する杏寿郎に、ドヤ顔の宇髄。
「フン、偶然だろう」
それを冷めて見る伊黒。
「宇髄様の洞察力を舐めんじゃねえ!
まず一つ、いつもより目が開いてねぇ」
宇髄に言われ伊黒と不死川が杏寿郎を覗き込む。
「む?」
「…いつもと変わんねえだろォ?」
「二つ、いつもより声に張りがねぇ。
煉獄、うまいって言え」
「うまい!」
「…それもいつもと変わらん」
「三つ、が何回も欠伸を噛み殺してた!」
「何が三つ、だァ。
どうせ3番目だけでカマかけたんだろォが」
冷静に突っ込む不死川。
「……(モッ、モッ…)」
竈門ベーカリーのパンを食べ続ける冨岡。
「チッ、つまんねぇヤツらだなあ。
それより、煉獄もお盛んなこって」
宇髄がニヤニヤしながら杏寿郎を見る。
「よもや!恥ずかしいものだな!
穴があったら入りたい!
ただ、昨日は致し方なかった!」
カクカクシカジカ……
昨日のの状況を掻い摘んで説明する。
「ほお…惚れた女に泣きつかれちゃ愛さない訳にはいかねえよな。
伊黒も甘露寺に泣きつかれたら朝まで抱くだろ?」
「ここで甘露寺を出すな……当たり前だろう」
ホイっ、と急に話を振られ嫌そうにしながらも否定はしない。