第12章 変わらぬ想い
─俺、やっとわかりました!
煉獄さん、最後の最後に言っていたんです。
俺が死ぬのは気にするな、これで愛する人に会えるんだ、って
てっきりお母さんの事かと思ってたんですが、先生の事だったんですね!─
「よもや!
俺はそんな事を言っていたか!」
覚えていなかった様で、少し照れた様に笑う杏寿郎。
を後ろから前に引っ張り、抱きしめる。
「君が死んで1年と少しと言えば短く感じるかもしれないが、存外独りで過ごすのは寂しかったんだぞ?」
「独りにしてごめんなさい。
もう絶対離れないから…」
から唇を合わせる。
長く。じっくり。
リップ音を立てて離れれば、名残惜しそうに目が合う。
ふと、の手が杏寿郎の左目に労わるように触れる。
次はお腹に。
「その事も聞いたのか?」
意図を持って触る手に察した杏寿郎が問うと、コクと頷く。
もちろん傷も何も無いないが、にはまるでその時の姿が見えているかのように涙を零す。
「あなたを守れなくてごめんなさい、っ…
継子なのにっ…
でも、っ…正直言うと、あなたの死に目に立ち会えなくて良かったって思ってしまったの…
あなたを失ってしまう事が…っ、こ、わかった…
話を聞いただけなの、にっ…もしその場にいたらって…」
ぽろぽろ落ちる涙を唇で掬い、落ち着かせる様の頭を撫でる。
「心配するな、俺は生きている」
顔を上げさせ、目を合わせる。
「愛してます。
誰よりも強くて、優しくて、責任感が強くて、家族思いで、面倒見が良くて、顔もかっこよくて、大きい目も好きだけど、たまに見せてくれる細めた目も大好きで、声も大き過ぎる時もあるけど聞くだけで安心して…
今も昔もあなたの全てが好きです」
ありったけの愛を伝えてくるに驚くも、愛しさが込み上げ胸が熱くなる。
ゆっくり布団の上に押し倒されれば、また重なる唇。
「俺も今も昔も変わらず愛している。
今夜嫌という程身体に教え込んでやろう」