第12章 変わらぬ想い
授業も終わったとある平日の午後。
「本当にありがとうね!カナヲ、竈門くん」
「大丈夫」
「お安い御用です!」
「今お茶出すから座って!」
「あ、お構いなく!」
前を見るのもやっと、というくらい大量の書類を抱え会議室へと歩いていた。
いつもなら杏寿郎を筆頭に先生方がこぞって手伝うだろう状況ではあったが、みんな生憎出払っており、たまたま通りかかったカナヲと炭治郎が運ぶのを手伝ってくれた。
会議室に用意されているお茶を煎れ、2人へ差し出す。
すると炭治郎がまるで授業中かのように姿勢正しく手を挙げる。
「先生に質問があります!」
「はい、竈門くんどうぞ」
「先生の鬼殺隊の時の話が聞きたいです!」
「奇遇ね!
わたしもその事について聞きたい事があったの」
の聞きたい事。
それは杏寿郎の最期の事。
杏寿郎から最期を看取ったのが炭治郎だと聞いた時から、いつか聞こうと思っていたのだった。
「まずわたしは、炎柱・煉獄杏寿郎の継子だったわ。
階級は甲。呼吸は炎の呼吸。
蜜璃とは同い年で彼女の後に継子になったの。
胡蝶姉妹とカナヲとも仲良くしてもらってたわ」
カナヲもコクコク頷く。
鬼殺隊としての経歴を話していく。
「…ってことがあって、死んでしまったのよ。
時間的には竈門くんが最終試験を受ける前かしら?」
「ちゃんは最期、炎柱様の妻として送り出されたの…すごく綺麗だったのよ炭治郎」
「カナヲ~ありがとう!」
ギュ、と抱きしめる。
「杏寿郎さんと思いが通じたのはわたしが死ぬ間際で…
実は最後にね、来世で必ず迎えに行くって言ってくれたの。
本当に来世でも探してくれて…わたし幸せ者よね…
と、こんなところかしら?」
涙ぐみそうになり、慌てて話を区切る。
「俺、やっとわかりました!」
「?」
「煉獄さんが最期に言っていた意味が!」