第1章 夢
原因の一端としては夢のせいだと思う。
あれはどう考えても日本の夢。
長時間のフライトの中、夢の事を考える。
登場人物は日本人のみ。
というか、夢の自分とあの橙色の人のみ。
着ていたものは、日本の学ランという服に似たものと、マントは羽織というらしい。
音が聞こえ始めた時に少し調べてみた。
あとは、あの剣は日本刀だろう。
西洋の剣とは違う。
でも今は日本刀をあんな易々と扱う人なんて多くないはず。
要するにはるか昔の夢?
そして、自分も彼も言っていた『なんとかの型、なんとかの呼吸』。
これはネットで調べてみたけど、何も引っかからなかった。
あと一つ、これは朧気な記憶なのだが、両親に夢の話をした時、
『今はまだ無理しなくて良いのよ。いずれその時が来るかもしれないから』
と言われた気がする。
どういう意味だったの?
少し複雑な顔をした両親だったが、すぐにいつもの明るさで、気にしない気にしない♪なんて言っていたから忘れていた。
今更ながら少し引っ掛かる。
以上を頭で整理しながら、今朝の夢を思い出す。
(痛みなんて感じたのは初めてだったな。
それに、最後のシーンて死ぬ所だったんだ)
無意識に自分の脇腹に目を向けてしまう。
(最後、何も聞こえなかったけど、あれはきっと…)
告白したのだろう。
彼に恋していたことはわかっている。
彼もわたしを失いたくないと言っていたから、おそらく…
悲しい結末だ。
でも何故か夢のわたしは幸せだった様に思う。
夢の話なのに、何故かわたしは日本に行けば何かが変わる気がしていた。