第11章 初出勤
なんとか滞りなく授業を終え、杏寿郎と共に家への道を歩く。
「今日1日どうだった?」
「とりあえず1日終わったって感じですけど、なんとかやっていけそうです!
今日は杏寿郎さんが居てくれて本当に安心しました。
ありがとうございました!」
休み時間など合間合間に様子を気にかけてくれていた杏寿郎に感謝を伝える。
「構わない!
俺だけでなく、みんなの事を気にかけていたぞ?」
杏寿郎の言う通りで、みんなが代わる代わる声を掛けてくれていた。
学生のしのぶですら職員室まで来たくらいだ。
「の事は昔からみな可愛がっていたからな!
盗られないか心配だ!」
「またそんな…からかわないでください!」
冗談めかしたが、あながち嘘ではない。
昔、杏寿郎からすれば、伊黒以外みな油断ならない相手だと思っていた。
4人目の嫁にならないか?と誘う宇髄。
普段あまり話さないのに、とはわりと会話が続いていた冨岡。
常に殺気を周りに撒き散らしているのに、の事は優しい目で見つめる不死川。
もうみんなの前で結婚の報告もしたから大丈夫だと思うが…
「杏寿郎さんはわたしがフラフラ他の男へ行くと思っているんですか!?」
少し怒った口調でから文句を言われる。
「よもや!それは決してない!!」
「でしょう?だったら心配なんかしないでください!」
ギュッと杏寿郎の手を握り、耳元で囁く。
「…今夜も愛してくれますか?」
からの夜の誘いに喉が鳴る。
「お望み通りに、お姫様…」
日の暮れた道端で2人の顔が重なる。