第38章 その背中が遠くて
陵南戦の勝利に、誰もが喜んだ中
流川だけはもっと高みを見つめていた。
私たちとはどこか違うところを見ているような。
なんとなく、流川の背中が遠くなったような気がする。
「流川…。」
「…アメリカに行きたい。」
「アメリカ…?」
「でも、まだ早いって言われた。」
アメリカなんて遠すぎる。
「とりあえずは、日本一になれって。」
「安西先生が?」
「おぉ。」
「そっか…。」
とりあえずは日本一。
日本一になったら、アメリカ…。
それが流川の夢だから、邪魔するつもりなんかない。
でも、でもさ…。
遠すぎるよ、流川…。
その背中が遠くて
私は、その背中に追いつけない気がする…。