第16章 諦めようと何度も
あいつの視線は、オレにとどまることがない。
いつも、いつも前を見ていてオレを見ない。
そう。
前にいる男のことばかりを見ているんだ。
オレはそんなあいつの背中ばかり見てる。
オレを見てほしいと願った時もある。
でもその願いは叶うことなんてない。
だから苦しくなって、あきらめようと思った。
あきらめる努力をして、違う女を彼女にしたこともあった。
でもダメだった。
女の顔にの顔が重なって、でも現実は違う。
すごく惨めだった。
あいつはオレをいつも夢中にさせる。
いつも前ばかり見てるおまえが、たまに振り返って、オレを呼んでくれる。
「おい、よーへー!!」
あぁ。
かわいい幼馴染が呼んでる。
無理に振り向かせようとは思わないけれど。
でも、もうしばらく、の近くにいるのはオレであってほしい。
諦めようと何度も
おまえがオレの名前を呼ぶから、諦めきれない。