第99章 薔薇の下で君が笑う
あれから数年がたって、私は卒業を間近に控えている。
渋る父と洋平の反対を押し切って、一人暮らしも始めた
ぼちぼち楓と連絡を取りながら、トレーナーになるために頑張ってきた。
「おいおい、ウソだろ…。」
朝のスポーツニュース。
それを見て、くわえていた歯ブラシを落としてしまった。
“流川楓、ニューヨーク・ニックスに所属決定!!”
これで、めでたくプロデビューと言うわけだ。
本当に喜ばしい事だ。
でもな…、でもな…。
「聞いてないぞ!!!!!」
さすがにヘコむ。
こーいう大事なことは、楓の口から直接聞きたかった…。
『流川さん。おめでとうございます。今のお気持ちを誰に伝えたいですか?』
『…日本にいる彼女に。』
『彼女いらっしゃるんですか?!』
彼女って、私の事か…?
あ、楓が少し笑ってる…?
うーわー。
私って現金な女…。
さっきまで、あんなに怒ってたのに…。
あぁ、でも、顔がにやける…。
薔薇の下で君が笑う
あなたの頬笑みは、薔薇色の鎖。