第12章 罪と苦悩・理解と許し
テンは少し黙ったあと突然切り出した。
「りか、ちょっとついてこい。」
「ん?どこ行くん?」
「死ぬ前に、かかしに会わせてやる」
「…!?」
「かかしがお前と最後話しがしたいって言ってきて「かかし先生に会ったの!?」
「一度だけ。」
「そっか…へへ。最後のご褒美だね。
でもさ、また神威つかっていかないといけないね。
あんなけ体が辛かったら、あっちにいっても話なんてできないんじゃないかなぁ…」
「一回やったから前よりは感覚をつかめるのがお互いに早いはずだ。だが、疲労するのは間違いない。
でもこの日のために、俺は、一部余分に力を分離して蓄えてきた。お前がそれを持っている間、少しなら、その力で己を保てるだろう。」
「テンは私に甘いね。」
「ばかいうな。それが終われば、お前はもう俺と逝くしかねーからな。最後くらい夢見させてやるよ」
「最後だもんね…うん、テンほんとにありがとう」
「じゃ、あの時と同じだ。合図したら神威を使え」
そういって、テンは蓄えた力を私に託し、空間を繋げる準備に入った。
同じく重力におされるが前よりはましだ。
左目はやはり痛かったが、かかし先生にもう一度会えると思ったら耐えることができた。
「‥‥神威!」