第10章 現実
かかしサイド
あれから、りかの問題は、彼女とテンが元の世界へ帰ることですみやかに解決された。
俺はまた、書類に囲まれた日常を送っている。
でも、その日常にいたはずの彼女がもういない。
目立つような子ではないが、なんというかまっすぐな明るい子だった。
こんなにもぽっかりと穴が開いたようになってしまうのか。火影室が寂しく感じた。
シカマルは特に何も言ってこないが、時々彼女座っていた場所をみつめている時がある。
気持ちは同じなのだろう。
りかが、最後に
「…かかし先生…ほんとに大好きでした。
会えてよかったです。どうか幸せになってください」
と、いつもは見せない強いまなざしで俺を見すえて言った。
覚悟を決めた姿は、凛としてとても綺麗だった。
今でも脳裏に焼き付いて離れない。
俺は、火影としてやるべきことはやったのだ。
じゃあ…はたけかかしとしては?
俺は本当に、あの子のことをどう思っていたんだろう…
「六代目…今こんなこというのもなんですが、また…お見合いの話が来てます‥」
「…シカマル…俺は…どうしたらよかったのかな…」
「…六代目は、火影として…やるべきことをやりました。
それに人の気持ちは簡単に思い通りにはならないです。
だから…六代目が責任を感じる必要はありません」
「…そっか…ありがとう…とりあえず、お見合いは顔合わせだけして、断るよ‥」
「…りょうかいです」
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「あの、火影様。‥‥ここは実は彼女いました作戦にしませんか??」
「私が!私、やっても大丈夫です!彼氏いませんし!」
あの時のりかの声が聞こえてくるような気がした…