第9章 決断と別れ
もう牢屋に入ってから一か月たった。
きっと調べてもテンについてはわからないのだろう。
本当にこのまま牢屋で最後を迎えるのか。
可能性は高い。
きっと私が死んでも、かかし先生は自己嫌悪に陥ってしまうんだろうな…
なんせ私を救う条件が、私のことを好きになるってことなわけで…
それを思うと、ここに私がいて最後を見せるのは、かかし先生にとって最悪だと思った。
それじゃ、これまで見てきたオビトやリンの時、暗部時代の闇をかかえたかかし先生と同じになってしまう。
一番やっちゃいけないことだ…
そう考えたら、居てもたってもいられなくなった。
「テン!近くにいる?テン?」
「なんだ~?どした?」
壁から、光の玉がでてきた。
「テン、私ここにいちゃだめだ。
ここで、かかし先生の前で死ぬわけにはいかないよ。
私はもうかかし先生との恋愛はあきらめるから、条件もそのままでいいから、自分の世界に戻れない?
あの人に私を助けれなかった重荷を背をわせたくない」
「そりゃ~…無理だ。簡単にいうな。忘れたか?
お前はここに来るのに、お前の命を条件にやってきたんだ。戻すにしてもそれ相当のものが必要になる。
簡単に見えたかもしれねーけど、俺の負担も半端ねぇんだぜ?」
「そんな…どうすれば…」
「う~ん‥‥…どうしてもお前の世界に帰りたいなら、神威を使えばまだできるかもしれねぇ。
神威の時空間をお前の世界につなげる。
お前がどうしてもっていうなら、サービスで空間を繋げるのはやってやる。
ただ、神威を使うなら覚悟はしろよ。
ただの時空間に己を飛ばすだけじゃねぇ。
俺がお前の世界と空間を繋ぐまでに時間もかかる。
それに耐えれなきゃ、意味ねぇからな」
その言葉にごくりと生唾を飲み込んだ。
「…わかった。なんとか踏ん張るから。それでいい。
準備ができたらまた呼ぶよ」
「はぁー…わかったよ。」
覚悟を決めた。