• テキストサイズ

テンの条件

第8章 虚しさと苦悩


牢屋の中でいろいろと考える。

やっぱり私は自分の世界にいるべきだったのかなって。

かかし先生やシカマルやみんなを恐怖に陥れるためにここに来たんじゃないのに。
でも、今や自分は脅威でしかない。

涙だけがむなしくおちた。

「まーた落ち込んでるな。お前はほんと落ち込む天才だ」

テンだ。
いつもタイミングよくあらわれる。

「テン、いっつも私が落ち込んでるときに来てくれるね。
ある意味優しいよそれ」

「なんだ、褒めてんのか?気持ち悪い。」

「そーやって口悪いのは変わらないけど」

「うるせー。…で、この展開はお前が望んでいたものか?」

「ううん…そんなわけない。
私さ、この世界の人を、かかし先生を恐怖に陥れるために来たんじゃないのに。
でも実際は、私はこの世界に存在しないものでさ。
結局、みんなを苦しめてんだよね。」

「かかし以外、みんな邪魔か?
お前を疑うやつは消してやろうか?」

「ふふ。テンて、ほんと口悪いけど、優しい。
でもテンはそんなことしなくていんだよ。
消えるべきなのは、むしろ…私だよ…。」

「お前が消えたら、面白くねーだろ」

「どっちにしても長くてもあと半年だよ。
もしかしたら、半年ずっとここでこうやって終わりを迎えるかもね。
テンにとったらつまんない結末になるのかも」

「んなこと、笑っていうんじゃねーよ。
とりあえず、お前のために大人しくしててやるから、またなんかあれば呼べ」

「うん。テン、来てくれてありがとう」

「おう」

テンはまた壁に吸い込まれて消えた。

もうこの状況でかかし先生との恋愛発展は確実にない。

「半年…か…」

ぽつりと牢屋に私の声だけ響いた。
/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp