第6章 告白
私のほうに体を向き直して、先生は私を見つめた。
「火影様だけに、私のこと…話したくて。
私は、ある人の協力によって別の世界から条件付きでこの物語の世界へ、ここへやってきました。」
かかし先生は混乱した表情で私をみた。
「私が住んでいた世界では、ここでの世界のことは物語として本になっていて、それを読んであなたのことを知りました。
火影様を... かかし先生のことを…本気で好きになりました。」
先生は、無言で私を見つめていた。
「ある人が、条件つきでならここに連れてきてもいいって言ってくれて、私はその条件をのんでここにいます。
でも、私はこの里の脅威でもないし、悪でもないです。
それだけは勘違いしてほしくないです。
先生に伝えたかったことは、本当に好きだっていう私の気持ちです。」
先生は驚くことが多すぎたのか、そのまま無言を貫き通した。
「お見合いしてほしくなくて…嘘の彼女になることを提案しました。
ただ、里の人達も不信に思ってうわさするくらい、私は先生の隣にふさわしくなくて‥
私は、まぁ見てのとおり凡人というか‥何も持ってなくて。自分で言い出したにも関わらず、先生の隣でうその彼女でいることがだんだんつらくて…本当の彼女になりたくて‥」
ピッと頬に雨があたった。
「突然わけわからないこといってすみません。
でも火影様である先生の立場もわかってますが、もし、もしも私に可能性があるなら少しでも私のこと見てくれませんか?」
言い終わったときには雨がパラパラと降りだしてきた。
しばらくして先生がゆっくりと口を開いた。
「……その別の世界とか、物語とかいろいろよくまだ飲み込めてなくて…それにりかの気持ちも…なんていうかちょっと混乱してる…」
「いえ‥もちろんそうなることもわかってましたから。
かかし先生、私はとりあえず隠していた気持ちを伝えれてよかったです。今日はここで‥失礼しますね。」
そういって振り出した雨の中を走った。