第5章 互いの眼に映るもの
気を取り直して…
「火影様、これ影分身ですか?」
「んーん。これ本体。影分身を火影室に置いてきた。」
「大丈夫ですか?
ま、私も人のこといえないっていうか、シカマルにも黙ってでてきちゃったな」
「あ。シカマルならもう気づいて、りかがさぼってるって怒ってたよ」
「どぇ!?やばい、か、帰らなきゃ…」
さすがIQ200を騙すのは、私には不可能だな…
と思いながら、私はスクッと立ち上がって、駆け出した。
「火影様!私先に帰りますから!
シカマルにどやされちゃう!」
そう走って振り返りながら、かかし先生のほうをみると…
あれ?いない?
と、その拍子に抱きかかえられ、体が宙に浮いた。
「まー俺の影分身もばれたからさ。怒られちゃうね。
りか、ここから飛ぶからじっとしててね」
「と、飛ぶ??」
そういったかかし先生にしっかりお姫様抱っこされ、先生は火影岩から飛んだ。
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赤色と、オレンジとピンクに染まる空に飛ぶ2つの重なった影
六代目火影と書かれた羽織を翻して
キラキラと夕日に照らされた銀髪と
優しく眉をさげて笑うその瞳
抱きかかえられた腕は、優しくてあったかくて
大きな胸板は触れただけでたくましいとわかる
こんなにも愛しい人がうつる世界は美しいのか
恥ずかしさも恐れも忘れ
金縛りのようにその光景にくぎ付けにされ
触れている部分が細胞レベルまで感覚を研ぎ澄ます
かかし先生…私…ほんとに…
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「こぉらーーーーー!なぁにやってんすか二人とも!」
シカマルの声に、はっと我に返った。
「ごめんごめん。息抜きってのも必要でしょ?ね、りか?」
そういってゆっくりと降ろされた。
「まったく、勘弁してくださいよ、これ今日中ですからね?」
そういってシカマルに結局2人とも怒られた。
まだドキドキしてる、どんな顔していいかわかんないや…
ぎこちなく机に戻り、ようやく積みあがった書類をみて現実にもどった。