第5章 互いの眼に映るもの
ある夕暮れ時。
だぁぁぁ~集中できない!
そう思ってやってきました火影岩の上へ!
なんかリフレッシュしたくて、自力で坂道上ってきた。
忍びみたいにひょいひょい上がれないし、時間かかるし…
てゆーか…息切れ…半端ねー………
でもなんかいろいろモヤモヤしてて、仕事にもうまく集中できなくて、ちょうどいい運動にもなったかも。
やっと着いて里全体を見下ろす。
「うっわーーーーーー!!!!めっちゃ綺麗!!」
誰もいないことをいいことに大声はりあげて、空気を吸い込む。
赤色とオレンジとピンクがまざった空を大きく仰ぎ、里に沈む夕暮れを一人眺めた。
「平和だな…」
一人がらにもなく黄昏る。
世界にはたくさん綺麗なものがあるんだよなぁ
里が平和でよかったなぁ
ほんとにここにこれてよかったなぁ
かかし先生に会えてよかったなぁ
かかし先生と一緒に見たかったなぁ
好きになってほしいなぁ
本物の彼女になりたいなぁ…
どんどんとこみ上げてくる自分の思いが、単なる欲望へと変わっていく。
せっかく綺麗なものを見て綺麗な気持ちでいたのに、止まらない湧き上がる欲求に頭を抱えてまた叫んだ。
「あ~~ぁぁぁ…だって、止まんないんだもんこれぇ!」
「何が?」
突然空から降ってきた声に、ぽかんとなる。
恐る恐る見上げると、そこには愛しい人が笑って優しく私を見下ろしていた。
「ほ!火影様!?・・・・えぇ?!…」
「止まんないんだもんこれぇ!って何か言い方が木の葉丸みたい」
そういってかかし先生は楽しそうに笑って隣に座った。
「いや、その、へへへ…」
と笑ってごまかしたが、欲望の塊となっていた自分が急に恥ずかしくなり、顔が赤くなっているのがばれませんように…と必死で願いながら夕日に向かって光を浴びた。