第16章 朝の微睡みの中で【綴】 甘裏
ピピピッ
かけておいたスマホの音が部屋に鳴り響いた。
綴は聞こえているも、モゾモゾの身体を動かす。
「(もう真澄が学校行く時間か……ん?何か脇の下辺り重くない……ぁ、そういや昨日いづみと……/////)」
目を開けると綴の腕の中に抱かれてスヤスヤと寝ているいづみが居た。
綴はスマホのアラームを止める。
「(そっか、真澄は実家に帰らないといけないとか何とかで昨晩は居なかったんだっけ……それで監督補佐のいづみを誘ったんだった)」
昨日のことを思い出していくうちに、下半身に熱が帯び始めた。朝なのでいくらかは生理現象であるが、こうなってしまうとムラっとした感情が再び訪れる。
ましてや、愛おしい存在は手の届く範囲におり、いつでも触れられる。
「(ッッ……いや、朝からはダメだろ)」
MANKAIカンパニーも大分盛り上がってきて監督だけでは手が回らないことが増えた為、監督の従姉妹であるいづみが監督補佐に来た。
それはもう半年前の話。
綴といづみとは彼女とかではなく、タダのタメと言うことでお互いに呼び捨てで呼びあっていた。タメの為か、自然に話は合うし、気もあっていた。
いづみはモゾモゾと綴のTシャツを握りなおす。
「(……わっ、可愛すぎる////)」
昨晩真澄が居ないことを良いことに、お酒を飲みかわしながら、演劇の話を綴達の部屋でしていた。
タダのタメ……と言うのも昨日で終わった。境界線を超えてしまったのだ。2人でほろ酔いになってきた頃に、エチュードをやり始めたのがいけなかった。
「(でも、実はお互い両思いだったなんて思わなかったな……)」
横腹にスリスリといづみは頭を擦り付けて来る。そして、ぽやっと綴の名前を呼ぶ。
「おーい、いづみー、起きろ」
綴は聞こえるようにいづみの頬をつねったり、突っついたりするがいづみは起きない。
それどころか、ふにゃと崩れた笑顔を漏らす。
「(……)」
自分を制し、再びムラっとする感情が湧き上がってくる。
「ちゅじゅる……」
「(……)」