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夢の世界へ

第12章 眠れない、午前何時【綴】 甘夢



フーフー言いながら真澄は怒っていた。
私はと言うとやっぱり眠くなって来たのか、足元がふわふわする。そして綴の腕を支えにする。

「「「監督!?」」」

「言わんこっちゃない。寝てないから」

「寝てないってどういう意味!綴!」

そして私は完全に綴の腕にしがみついてほとんどの意識がなくなり、体重を綴に預けてずるずると床に座る。

「監督、ちょっと起きてください」

「ん……うん」

「はぁ……失礼しますよ、監督」

綴が下半身から掬いあげていづみを横抱きにする。
駆け寄ってくる真澄と臣だが、私が寝ているのを臣が確認すると、綴に抱えられたいづみから離れない真澄を剥がす。

「ちょっとベッドに移してきます」

「監督の朝ごはん、用意しておくな」

「いつ起きるか分からねぇっすけどね」

「綴、帰ってきたら説明して」

「はいはい」

「さ、真澄も早起きしたんだ朝稽古行く前に何か食べるか」

「食べる、けど俺このまま監督と添い寝する」

「ダメだ、何があったか知らねぇが寝させてやれ」

「……」

真澄を引き止めてくれる臣に感謝して、綴はいづみの部屋に移動する。
ドアを開けて、ドアを閉め、いづみをベッドにゆっくり下ろす。

「ったく、監督も無茶するんすから……」

ぐっすりと寝ているいづみを見て、いづみのおでこに綴は軽くデコピンをする。一瞬だけいづみの顔が歪む。
ふっと綴も表情が柔らかくなる。

「さっきの続きの言葉はまだ当分、秘密っす」

綴はおでこに口付けし、布団をお腹辺りまで被せる。ドアを開け振り返る。

「おやすみなさい、監督」

静かにドアを閉めてリビングに向かう。
きっとこの後真澄にとんでもなく問い詰められるんだろうな、と綴は思った。

「今日は四限だけから、朝稽古終わったら俺も寝よう」

スタスタと歩いていった。


2020.8.2 執筆完了
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