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夢の世界へ

第5章 だって、初めてだもの【綴】 甘夢、やや切なめ





「ねーねー。三好先輩ー!」

「ん?なになに?いづみちゃん?んー……それはどうだろうねー。いづみはそのままでも可愛いよ!」

「そうやってはぐらかす三好先輩嫌いー!」

「えーいづみちゃん、それはないっしょー」



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「三好さん居ますか?あの……あまり聞きたくはないんですけど」

「どったの?つづるん」

「いづみと何話してたんすか」

「聞きたくないのに聞くんかーい!」

「な、に、話してたんすか」

「普通の世間話っしょー」

ジトッと一成の方を睨む綴。
綴と俺が出会ったのは高校の頃に絆創膏で出会ったのがきっかけであるが、いづみと綴が出会ったのも絆創膏がきっかけであった。その時に綴が一目惚れをして、ずっと目で追っている所が分かりやすくて、俺に背中を押されて、綴といづみは交際していた。
その当時は、俺が3年生、綴が2年生、いづみが1年生という異色なメンバーであり、他生徒からは一緒に居るところを見ると三角関係だったやら何やらで騒がれて居たけど、綴といづみは鈍感であり、その噂には何一つ動じて居なかった。
というか、周囲には秘密で綴といづみは付き合っていたのを俺は知っていたから、俺自身もあまり気にはしていなかった。
この2人が付き合ってるのが、恋人同士に見えない為、きっとそんな噂がたつんだろうけど。
それが月日が経ち、俺に続いて、綴も高校を卒業。現在はいづみが高校に通っている。綴がその話をこの寮内で一切しないし、綴からも口止めされていたから寮内でもいづみのことを話すことはなかった。
が、ついこの間俺はいづみと街でたまたま会ってお茶をした。綴のことを思い1度は断ったものの、どうしても!といづみにせがまれ喫茶店に連れてこられた。それが冒頭部分での会話内容。そう、そして椋が学校行っていて居ないことを分かって居るのか、綴が部屋を訪ねて来て今に至る。
何故それが綴が知ってるのかと言うと、いづみとのLIMEでそんなお話になったとのことだった。いづみも言わなきゃいいのに、と俺はため息混じりの笑みをこぼす。
完全に綴は勘違いをしていたことを察する。そして、同時に嫉妬のような感情も感じられる。
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