第3章 好きな気持ち【綴】 甘裏
「綴くん、今日は楽しかったねー」
「本当に、いづみと楽しい時間を過ごしたよ」
俺の彼女のいづみ。付き合ってまだ2ヶ月ちょっと。
大学で同じ授業を受けてて意気投合し、現在に至っている。
告白したのは俺の方で、OKを貰えた時は嬉しくてMANKAIカンパニーの何人かにバレてしまった程。
その後も万里や三好さんには未だに近況はどうか聞かれる度に、顔に出ていると言われてしまう。
今俺たちは浜辺を歩いている。
俺としては帰りたくないんだけど、大切な彼女を無理させる訳にはいかない。
気づくと彼女は俺の服の端っこを引っ張って下をみて俯いていた。
「ん?どうした?」
ぎゅうっと服を更に引っ張っられる。
俺とは約25センチくらい違ういづみの頭をポンポンと軽く撫でる。ふと覗くと彼女の顔は何やら寂しそうな顔をしていた。
「……楽しかったから、帰りたくないなって」
それは俺も同感なんだけど、時刻はもう既に夕方で、もう少し経てば太陽は落ちてしまう。そうすると、夜はすぐそこで、明日はお互い休みとは言え、これ以上一緒にいると俺も男だから手を出してしまわないとは約束出来なかった。
「帰り、遅くなっちゃうぜ」
うん……と小さくいづみは呟く。
俺は頭をポリポリとかいてどうするか考えた。
考えたが、どうしてもこれ以上居るならあそこしか思いつかない。
夕食は食べちゃったし、カフェで飲んでお話でも良いが……
付き合ってそろそろキスくらいしても良いとは思ってるが、それ以上となるといづみを傷つけてしまわないか不安が過ぎる。
いづみはゆっくりと顔を上げる。
その顔は頬を赤らめていて、うるっとした目にドクンと心臓が鳴ったのが分かった。
俺、この心臓の音、いづみに聞こえてないよな?うん。
と自問自答を繰り返す。何だか自分まで顔が熱くなってくる気がした。
じっと見つめられる。カッコイイ言葉も言いたいし、いづみのことを考えてお家に帰さないととも思う、でもそれとは裏腹にこのまま夜ずっと一緒に居たいと思うし、キス以上のことだってしたい……あー、こんなぐちゃぐちゃと考えてるのは俺じゃない。