第9章 9
かかしサイド
夜9時
えまに言われた通り、影分身を火影室に置いて指定の場所に行く。
森の中に入り、少し開けた場所にでると川が近くにあるのか水の音が聞こえる。
てゆーか暗い。
こんなとこでえまは何してるんだ?と思ったところで
「かかし先生!」
そう呼ばれて振り向くと、えまがいた。
「先生、ちょっと目隠ししますね。まだ見てほしくないから」
「え!?この暗闇で目隠し?ん~一体何する気なの~?」
「いいから、いいから。黙って、私の手につかまって歩いてください」
言われたとおりにし、次はここで横になれと言われる。
しぶしぶあお向けになり、こりゃ一体どういうことなんだ?と悩む。
ありがたいことに何かフカフカするものが敷いてあるため、背中は痛くない。
思い切って大の字で寝てやった。
するとえまがザザザっとあたりを駆け回る音が聞こえた。
「かかし先生!目隠しとってーーー!」
言われて、目隠しをとると…………
暗闇の中に小さな黄色の光たちがフワフワといくつもいくつも、数えきれないほど舞い上がった。
「これは…」
真っ暗闇に舞い上がる、多量のホタルの灯りだった。
幻想的とゆうのか…
ホタルを見たのはもうどれくらい前だろうか。
父さんと一緒に見たのが最後だろう。
暗闇にこれでもかという数の小さな命の光が舞っている。
あぁそうか、えまが俺を心配してくれてわざわざ連れてきてくれたのか。ほんと、あの子は…
きっと俺の心は、里長という大きな重役と責任、思い通りにいかない香蓮との運命によって、自分が思っている以上に疲れきってしまっていたのかもしれない。
涙がつーっと耳のほうへ流れた。
俺はその幻想的な光景を、ぼんやりと見つめ続けた。
えまの気配は近くにあることはわかっていた。
でも彼女は何も語らず、その離れた場所から俺の気がすむまで待っててくれていた。
その後、2人で火影室に帰った。
シカマルに
「なんで二人ともそんな蚊にさされてるんすか?」
ってつっこまれて、苦笑いしたのはいうまでもない(笑)