第9章 9
今更ながら、うちがナルトの世界に来てしまったのは夢ではないらしい。
ということは、なんらかの形でここにきてしまっているわけだが、私にはほんとに何の力も能力もないのだろうか。
だいたい夢小説だと、アカデミーにいって忍びになるパターンとか、ここにトリップした時点で、何かしら力があるとかさ…
おいおい、うちってなんもないんか?!
なんかさーほんと誰か生き返らせる術とかー…
病気治せる術とかー…
魔法みたいなー…
って結局考えることはこれだ。
かかし先生のことが今でも変わらず大好きだが、かかし先生がうちとどうこうなることよりも、香蓮さんと結ばれて幸せになるっていうほうが明らかに妥当だと思ってしまう。
そもそも、かかし先生はうちのことを恋愛対象として見ていない。てゆーか、火影業務と香蓮さんのことで手一杯のはずだ。
先生、息抜きできてるんかな…
そう思ったら、いてもたってもいられなくなった。
いつも通り、火影室で書類とパソコンとにらめっこしているかかし先生を見て、先生自身も癒してやらねばと思った。
「かかし先生、今日夜ちょっとだけ時間ください」
と、耳元でコソコソと伝える。
「なにそれ(笑)そんな内密な感じなの?」
同じくコソコソと小声で返答してくる。
「ばれたらシカマルが怒るし。30分でもいいんです。影分身おいて、本体は夜9時にここに来てください」
と、場所を示したメモを渡した。