第7章 7
かかしサイド
今日も俺は香蓮に会いに行くために病院を訪れる。
正直弱っていく彼女を見るのはつらい。
なにもできない自分が歯がゆくなるのだ。
かといって火影業務を考えると、限られた時間でしか香蓮には会えない。
最後の時間をどう有意義に過ごさせてあげたらいいのか…
よく悩む。
でも最近少し思うことがある。
えまがお世話係としてついてから、まだ病気をする前の香蓮に見えることがあるのだ。
えまという存在が香蓮のなかで大きくなっているのか、何かしら影響をうけているのか。
正直、二人であって話すこともお互い、この先の未来の話なんて希望をもって話すことはしない。
どうせできないからとお互いに思っているからだ。
いつも会話はたわいのない、仕事はどうだとか、体調はどうかとかありきたりだ。
今日も会えるのはうれしい。
でも今日も俺たちは未来の話をしない。
はぁ…とため息をつきながら、今日は言われていた中庭にやってきた。
俺の彼女は相変わらずきれいだった…
「かかし。かかし!ちょっと聞いてよ!」
珍しく香蓮がうれしそうに手招きする。
「ねぇ、えまって何歳か知ってる!?」
「は?何とつぜん‥何歳って、特に本人から聞いてないけど、25とかじゃないの?」
「きゃはは!やっぱしそうおもった!?えま、実は35歳なんだよ!かかしもだまされてる!ぎゃはは!!!」
香蓮の爆笑をきいて、院内に入ろうとしたえまが
「ちょっと香蓮さん!わたしの年齢、かかし先生にゆったでしょー!?」とむきになっている。
「ぎゃはは!ばれた!?だってこれどんなドッキリよりおもしろいんだもん~!」
は?えまが35歳?俺より年上??
「もー!香蓮さん。今日せっかくもってきたカステラあげませんからねー!」
「あーもうごめんごめん。えま大好きー怒んない怒んない!」
驚いた…正直えまを子供扱いしていた。
どちらかというとナルト達に近い扱いだ。
俺としたことが、年上だったとは…。
それに香蓮のこの様子、まるで元気だった頃みたいだ。
いつももろく儚くみえる自分の彼女を痛々しい目で見ていたのは、香蓮自身も気づいていただろう。
しかし、今目の前にいる彼女はまぎれもなく、俺がしっているいつもの香蓮だった。
たった一か月の接触でこうも香蓮が変わるとは…
まいった…
こりゃナルトにつぐ意外性ナンバーツーか?笑
![](/image/skin/separater39.gif)