第6章 文化祭 *
聖臣side
沙耶の部屋を出た途端、壁に凭れ掛かる。
心臓がバクバクと音を立てて、苦しくて窒息死してしまいそうだ。
緊張しているのか、手の平に汗まで掻いて余裕がない。
寸止めの状態は、俺自身の体もツライ。
『本気で抱く、沙耶が泣いても懇願しても止められない』そう沙耶に進言しても俺達は、まだ高校生のガキだ。
なりふり構ってられないはずなのに、もう一人の俺がストップをかける。
はぁーと溜息をつけば、ベランダから自分の部屋まで、熱い体を持て余しながら進んで行く。
事実上、1人暮らしになった沙耶を見かね、俺の両親は、ベランダの隣人通しの隔たった壁を取っ払い、お互いに自由に行き来出来るようにした。
今日に限って親達は、仕事で泊まりになり帰ってこない。
勿論、歳の離れた兄と姉は、一人暮らしをしていて滅多に帰ってこない。
頭をクシャとしながら、沙耶が俺に隠していた事を思い出し、ムシャクシャした気持ちになる。
ほんの些細な事も気づいてあげられると思っていた。
よりによって、宮侑のほうが先に気づいていたとは思ってもみなかった。
様子を見に行っても、気怠そうにしている沙耶を見て、体調が悪いのかと最初は思っていた。
本の間に隠すように差し込まれた薬を見つけて、それが睡眠薬と気づいたのは最近だ。
何かしら、沙耶からアクションがあると思いきや、何も言ってこない。
泳がせて限界近くになったら、全てを吐かせるつもりだったのに、結局それもしないまま退院の日を迎えたのが悪かった。
携帯からコールが鳴っていても、あえて無視した沙耶に疑問を抱く。
そして、疑問の答えは咄嗟に浮かんだ宮侑の名前を呟けば、挙動不審のようにはぐらかし、露骨に目線を逸らしていく。
その行動にイラっとしながら、沙耶の携帯に手を伸ばした。
取り合いになった反動で、ソファに沙耶を抱き締めて傾きながらも勝手に電話に出ると、案の定宮侑の声がスピーカー越しに聞こえてくる。
お互いに不機嫌な声に、沙耶も慌てて携帯を取ろうとするが、片腕で強く抱きしめて身動きが取れないようにした。
自分でも意地の悪い行動だと思うが、それどころじゃなかった。
俺じゃなくて、宮侑に助けを求めたことに苛立ったからだ。