第4章 宮兄弟の愛し方
侑side
佐久早君の腕に眠る沙耶は、さっき自分といた時とは違ってぐったりとしていた。
母親の制止も聞かず、沙耶の元へ駆け寄る。
「沙耶どないしたん?
顔真っ赤やで、熱あるんとちゃうか?」
咄嗟に額を触ろうとすると、佐久早君から明らかに邪険に取り扱われる。
「触んな!」
佐久早君の怒声が響き、ナースステーションにいる看護婦達が、何があったのかとざわざわし始める。
「何やねん!お前に触んなとか言われる権利ないやろ?
それより、沙耶を寝かすのが先やろうが!!」
相対するように怒声を出すと、沙耶の目が薄っすら開いてくる。
「どう…したの?何か…あった?」
少し苦しそうにしている沙耶の姿が痛々しく、「何もない」と呟いた佐久早君は、沙耶の病室へと進んで行く。
後を追うように、俺達と母親ともう一人看護婦が続いて病室に入る。
「は~い、沙耶ちゃん久しぶりね。
おばさんの事わかる?」
「葵…おばさん…ごめんな…さい…迷惑かけ…て…」
どんどん苦しくなっていく沙耶をみて、母がナースコールを鳴らす。
「医局室に海斗いる?南條先生を白城沙耶の病室に来るよう、すぐに呼んできて!」
只ならぬ雰囲気に圧倒されて、呆然としてしまう。
「何言っているの?おばさんは、看護婦なんだから貴方を助けるのは当たり前よ。
それに、大丈夫!南條先生を呼んだから待ってて」
バタバタする室内に、テキパキと動く母親とベテランの看護婦。
それを傍観していると、母親から叱咤される。
「ぼーっとそこにいるなら、端っこにいなさい。
図体だけは、大きくなりすぎよ」
見慣れているはずの母親の看護婦姿も、今は不安で仕方がない。
運び込まれた機材を見ながら、沙耶の体に取り付けていく。
その中には、酸素マスクもありその光景が、嫌な想像へと駆り立てる。
手の平を力いっぱい入れていると、横にいたサムから小突かれた。
何もできないもどかしさに溜息をつきながら、佐久早君と共に病室を離れる。
「緊張しとるんか?」
「サムは、余裕なんか?」
「お前なぁ~質問に質問で返すなや」
いつものやり取りにホッとしていると、佐久早君に襟首を掴まされる。