第4章 宮兄弟の愛し方
侑side
なんやねん!サムのアホちゃうか?
あんだけ、抜け駆け禁止言うといて、いきなりキスとかありえんやろ?
咄嗟に、サムから強引に引き千切ってきたけど、キス初めてなんか?沙耶、かなりパニックっとったなぁ。
ファーストキスやったら最悪!!
あぁ!クソ!もう、沙耶は真っ赤になっとるし、アカン!!
廊下を通っていく間、何人かの患者や看護婦達と出くわし、愛想笑いをしては軽く会釈しとく。
挨拶は、人として基本。
これは、小さい頃から母ちゃんにも言われてきたし、高校に入ってからも北さんから散々言われた言葉だ。
チラリと沙耶を見れば。
「大丈夫か?おーい沙耶?戻ってこい~」
あっダメや、アカン、当分続くパターンや。
双子やからって、同じ人を好きにならんでもえぇのにな。
沙耶のお母さんもかなりの美人さんで、それに似てきてるって思う。
そうや、初対面の感想は、大きな目が印象的でよく笑う子やった。
年1回しか会えへんし、たまに会ったからよかったのか、歳を増すごとに綺麗になっていった。
当然沙耶を意識するまで、そう時間なんてかからなかった。
もちろん、だからと言ってこの思春期真っ只中の少年が、女の子に対しての関心やら性欲やら抑えられることはない。
サムも同様とっかえひっかえだったことは、否定しない。
ただ…サムも俺も自分から好きになったことなんてないって事。
だから、サムと俺の中での条約が提携され、病院に来る時も、散々話してきたのに結果がコレだ。
サムと話したのは、主に3つ。
一つ、抜け駆け禁止。
一つ、沙耶が、嫌がることはしない。
一つ、どんな状況でも沙耶を泣かせない。
これさえ守れば、沙耶に向けて貰う算段だったはず。
もう、一つ目から破られとんやん。
中庭が見えてくると、沙耶に「散歩コースにピッタリや」と言っても反応がない。
ベンチに腰を下ろさせると、少しひんやりする風が冷たい。
あんまり長いすると、沙耶が風邪ひいてまうな。
少し震える肩に気がつくと、やっと目が合う。
こっちに向いてくれたから、なんか嬉しい。
上着を被せてやると、華奢な沙耶には大きくて、その姿が可愛いすぎて抑える事なんて無理だ。